車椅子の階段移動は大変でした(汗)

介護

車椅子でお散歩

とある小春日和の昼下がり。
せっかくの暖かい陽気なので滅多に外に出ない父と母を連れて、お散歩がてら最寄りのスーパーへお買い物に行くこととなった。父は自力で歩けないため車椅子を使用。介護レンタルで車椅子を借りているが、せいぜい使うのは病院に行く時くらい。毎月レンタル料金払ってるのでしっかり活用せねば。

母も引きこもりに近い状態なので果たしてスーパーまで歩いて行けるかな・・・スーパーまでは我々の足で歩いて5分ほどだが・・・と一抹の不安もあったが、たまには外に出るのも気分転換になるだろうしダメなら途中で引き返せばいいか、と思い直し、姉と僕が両親を連れて出かけることにした。

ここでひとつ問題が。我が家は集合住宅の1階で玄関を出ると短い4段の階段がある。外に出るには父を車椅子に乗せたままこの階段を降りないといけない。父の体重は最近計っていないが、直近で確か80kgあったはず。91歳にしてこの重量。ごつい爺さんなのだ。

でもなんとかなるだろう。この根拠のない自信は以前介護タクシーを頼んだ時に運転手さんが車椅子に乗ったままの父を1人で持ち上げて階段を登り降りしてたのを見ていたからだ。それも女性の運転手さんだったので、いまいち腕力に自信がない僕でも大丈夫だろうと高をくくっていたのだ。



ところがどっこい

見よう見まねで1人でやってみたが重くて持ち上がらない。腕がプルプル震え、力んだついでにおならもブリブリ出る始末。多分コツがあるのだろう。もっとちゃんと見とけばよかった、俺っていつも詰めが甘いんだよな、思えばそんな人生だったわ、と心の中で自分史を振り返りながら姉にも手伝ってもらい、2人がかりでなんとか階段を降りる事ができた。たった4段の階段だったがあまりに頼りない子供たちの階段下りに父の顔面は蒼白になっていた。心なしか白髪と皺がより増えたような、、93歳くらいに見えるのは気のせいか?ごめんよお父さん。上りはもっと頑張るよ。

それから歩いて5分ほどのスーパーへお買い物。僕が車椅子を押し姉が母と手を繋いで歩く。そのスーパーはまだ父が歩けた頃、母とよく買い物に訪れていたそうだ。ゆっくりと父の車椅子を押し歩き、信号待ちでふと後ろを振り返ると、遥か彼方50mほど後方に母と姉の姿。遅っ!!
なんだあの二人はムーンウォークでもしてるのか?母はずっと家にいるせいか歩くのがめっきり遅くなってしまった。86歳という年齢を考えれば致し方ないところではあるが。

本来なら5分ほどで着くはずのスーパーまで15分くらいかけてやっと到着。よしっ早速お買い物開始だ。父も料理をする人だったので、久しぶりに来たスーパーの野菜売り場を見ながら、高くなったとかこれ安いなとか楽しそうに眺めてる。その日のお昼ご飯はスーパーのお弁当にしてあとは夕飯用の食材をあれこれ買ってスーパーを後にした。会計時に母はレジの人に「お久しぶりです」と声を掛けられていたが果たして覚えていたのだろうか?

帰りは道順を少し変えて、行きとは違う風景を見ながら父とおしゃべりして歩く。信号でまた後ろを振り返ると遥か後方に手をつないだ母と姉の姿が見える。母はさすがに歩き疲れた様子で姉の方に寄りかかる感じで歩いている。家に着いたら秒で寝るだろう。しかし寝る前にまだ大仕事が残されている。そう、階段上りだ。



たかが4段、されど4段

行きと同じく15分ほどかけて自宅前に到着。さあ、いよいよこの4段の高みを登らねば。かつてないほど高く感じるこの階段。よしっと気合を入れて姉と二人で車椅子を持ち上げ、階段を登ろうとするが、先頭の姉が一段上がったところで「ムリっ!」・・それ以上登ることも持つこともできずまた一段下がって元の場所へ。登りは下り以上に辛かった。あの女性ドライバーを呼び出して階段を上がってもらいたいところだがさすがにそれは無理だろう。

どうするかと途方に暮れていると父が「俺が歩いて登る」と言い出した。その顔は(もうあんな恐い思いをしたくない)と訴えているようだった。だが父は歩行困難で自力で歩くことができない。家の中では歩行器を使うか、テーブルや柱を掴みながら歩くつかまり歩きで移動している。その経験則により父は階段の手すりを掴みながら登ると言う。だが実際は腕の力だけで移動しているようなもので足が毎回おぼつかない。それも平地を歩くわけではなく階段を登ろうというのだ。苦渋の決断だったが、ここは父の気合と腕力に賭けてみることにした。父を車椅子から立たせて手すりを掴ませる。あとは父次第である。我々にできることは、そう。応援だけだ。

「お父さん、頑張れ!!」
「すご~い!お父さん!!」
「あと2段!もう少し!!」
「うおっ!いけるんじゃん?!」
「おおお!やったー!すごい!!」

バカ姉弟である。

結果父のほぼ腕力で階段を登りきり、無事自宅へ辿り着くことができた。一仕事終えた父の顔はまるでエベレスト登頂に成功したかのように達成感で溢れていた。

その後、この出来事は当日仕事で留守にしていた妹の耳にも入り、「何してんねん(-_-;)」と怒られるはめに。これに懲りて車椅子用の階段用スロープを介護レンタルすることにした。











タイトルとURLをコピーしました